フィンランド、サウナ発祥の地。
その独特の文化と、日本のサウナとは異なる魅力は、多くの人を惹きつけてやみません。
厳しい冬と短い日照時間の中で育まれたサウナ文化は、単なる入浴施設を超えた、人々の生活に深く根付いたものなのです。
古くから伝わる伝統的なサウナから、現代的な進化を遂げた様々なスタイルまで、フィンランド式サウナの魅力を紐解いていきましょう。
心身を癒す、至福のひとときを想像しながら、一緒にフィンランド式サウナの世界を旅してみませんか。
フィンランド式サウナとは

*サウナの歴史と文化
フィンランドにおけるサウナの歴史は古く、2000年以上前に遡ると言われています。
厳しい寒さと長い冬を乗り越えるための知恵として、そして日々の生活の一部として、サウナは人々の暮らしに深く浸透してきました。
当初は、食材を燻製する小屋が、やがて人々を温める空間へと変化していったと考えられています。
現在では、フィンランドの人口を大きく上回る数のサウナが存在し、家庭にも設置されるほど身近な存在です。
2020年に、フィンランド式サウナがユネスコ無形文化遺産に登録されたことは、その文化的な重要性を示す大きな出来事でした。
サウナは単なる入浴方法ではなく、フィンランドのアイデンティティを形作る重要な要素と言えるでしょう。
*フィンランド式サウナの特徴
フィンランド式サウナは、日本のサウナとは異なる特徴を持っています。
温度は一般的に高めで、90℃前後が標準とされています。また、湿度が高めに保たれており、ロウリュ(熱した石に水をかけて蒸気を発生させること)を楽しむ文化が根付いているのも大きな特徴です。
このように、フィンランドのサウナは高温かつ湿度のバランスが取れており、心身をしっかり温め、リラックス効果を高めてくれます。
さらに、白樺の若葉を束ねた「ヴィヒタ」を使い、その香りを楽しんだり、身体を叩いて血行促進を図る「ウィスキング」といった伝統的な文化もフィンランド式サウナにはあります。
ただし、一般的な公衆サウナではあまり目にすることはなく、あくまで伝統の1つです。
*日本のサウナとの違い
日本のサウナは、高温低湿のドライサウナが主流で、短時間で一気に発汗させるスタイルです。
一方、フィンランド式サウナは、温度はおおよそ90℃前後と日本と同程度かそれ以上の高温ですが、湿度が高く、ロウリュ(熱した石に水をかけて蒸気を発生させる行為)によって室内の湿度を調整し、身体をじっくりと温めるのが特徴です。
日本のサウナでは水風呂が欠かせないものですが、フィンランドでは、湖や海のほとりに建てられたサウナが多く、サウナでしっかりと身体を温めた後、そのまま湖や海に入って身体を冷やす「冷水浴」が主流です。
冬には、凍った湖に穴を開けて入る「アヴァント」と呼ばれるスタイルも一般的で、これもフィンランドならではの楽しみ方のひとつです。
一方、首都ヘルシンキのような都市部では、サウナが水辺に隣接していない場合も多く、そういった場所では、サウナの後に外気に触れて身体をクールダウンする「外気浴」が主流となっています。
特にヘルシンキ最古のサウナである「コティハルユ・サウナ」などでは、外気浴が一般的なスタイルとして親しまれています。
また、日本のサウナでは時間制限があることが多く、時計が設置されている施設も多いですが、フィンランドでは時間を気にせず、リラックスして過ごすことが重視されます。
サウナ室での会話についても、日本では制限されていることが多いですが、フィンランドでは許容される傾向にあります。
フィンランド式サウナの種類

*スモークサウナの魅力
スモークサウナは、フィンランドの伝統的なサウナスタイルです。
煙突のないストーブを使用し、薪を燃やしてサウナ室を温めます。
煙突がないため、サウナ室内には薪の煙が充満しますが、それが独特の香りとなり、フィンランドのサウナ独特の雰囲気を味わうことができます。
また、数日にわたる加熱が必要な為、壁や床、天井に至るまで、加熱され、360°全方位からの柔らかな輻射熱を感じることが出来、この感覚も独特な物です。
煙が充満した状態から、煙を逃がして入室する独特の工程も、スモークサウナの醍醐味です。
木材の香りが強く、より自然な温かさを感じられるでしょう。
近年は、煙突付きのストーブも用いられ、より効率的な温め方ができるようになっています。
*ロウリュサウナの楽しみ方
ロウリュサウナは、熱したサウナストーンにアロマ水をかけ、蒸気を発生させるロウリュを楽しむサウナです。
ロウリュによって、サウナ室の湿度と温度が上がり、発汗作用が促進されます。
アロマ水を用いることで、香りにも癒されることができます。
また、タオルを振って熱風を送る「アウフグース」は主にドイツや他の国のサウナ文化に見られるもので、フィンランドの伝統的な公衆サウナでは一般的ではありません。
*アイスサウナ体験
アイスサウナは、氷のブロックで造られたサウナ小屋で、冬限定のサウナです。
氷で囲まれた空間は、温度が上がりすぎず、マイルドな蒸気を楽しめます。
極寒のフィンランドならではの体験と言えるでしょう。
日本のアイスサウナと呼ばれるものは、冷凍室のような低温サウナや、水風呂を指す場合もあります。
本場のアイスサウナは、その独特の雰囲気と、氷の冷たさとのコントラストが魅力です。
フィンランドサウナの健康効果

*心身のリラックス効果
フィンランド式サウナは、心身のリラックス効果が期待できます。
低温多湿の環境でじっくりと温まることで、身体の緊張が解け、精神的なストレスを軽減します。
発汗作用によって、体内の老廃物も排出され、身体の軽快感も得られます。
また、ロウリュやヴィヒタによる香りも、リラックス効果を高める一因となります。
*美容効果と健康増進
フィンランド式サウナの発汗作用は、美容効果にも繋がります。
肌の汚れや老廃物を排出することで、肌のターンオーバーを促進し、美肌効果が期待できます。
また、血行促進効果も期待でき、冷え性改善にも効果があると言われています。
サウナによって得られるリラックス効果は、睡眠の質の向上にも繋がります。
さらに、免疫力向上にも効果があると言われ、健康増進に役立つでしょう。
*サウナ利用の注意点
サウナを利用する際には、いくつか注意すべき点があります。
長時間サウナに入ると、脱水症状や熱中症になる可能性があるので、こまめな水分補給を心がけましょう。
また、心臓に疾患のある方や、妊娠中の方などは、サウナ利用を控えるか、医師に相談することをお勧めします。
アクセサリー類は熱で変形したり、やけどの原因となる可能性があるので、外してから利用しましょう。
サウナ室でのマナーを守り、快適な空間を共有しましょう。

まとめ
フィンランド式サウナは、高温多湿で、蒸気を活かしてじっくりと身体を温める、日本のサウナとは異なる魅力を持つサウナです。
ロウリュやヴィヒタといった独特の要素も、フィンランド式サウナの魅力を高めています。
サウナの歴史や文化、種類、健康効果などを理解することで、より深くフィンランド式サウナの世界を楽しむことができるでしょう。
心身ともにリラックスできる、至福のサウナ体験をぜひ味わってみてください。
そして、フィンランドのサウナ文化が、人々の生活にどのように根付いているのか、想像してみてください。
その奥深さ、そして温かさに、きっと触れることができるはずです。